日本の企業での人材育成はかつて終身雇用・年功序列型の人事制度において、OJTや研修などにより、時間をかけてじっくりとゼネラリストを育成していく方法が一般的でした。今でも日本社会では一般的に言って、一つの職場で働き上げる姿勢は、「真面目で素晴らしいこと」と評価されます。
もう一つ昔から評価が高いのがスペシャリストと呼ばれる専門家です。ある部分にだけ執拗にこだわる、いわゆる「職人タイプ」の人がいて、「この仕事だけは絶対に譲れない、絶対に負けない」と、地道に真面目に頑張る人は世間的評価も高くなります。
企業の人材育成においてはこのゼネラリストとスペシャリストをどう捉えればいいのでしょうか。
ビジネスの世界でオールラウンドにこなせるいわゆる「一人前」と呼ばれる人は、狭い分野の一つ一つの小さな事にあまりこだわることなく、全体の大きい流れをうまく見ながら、仕事をスムーズにこなしているのではないでしょうか。一部分にだけ執拗にこだわる人は、ある部分では飛び抜けて良い成果を出せるかも知れないけれど、別の部分では全く手を付けていなかったり、仕事全体が遅かったり滞りがちになっていたりします。
特定分野で飛びきりの成果を上げるスペシャリストが必要とされる分野もあります。
プロ野球で例えると、指名打者や抑え投手などが代表的ですね。指名打者は守備はせず、バットだけで勝負しますし、抑え投手は、ゲーム終盤のピンチを抑えることが仕事です。
そのスペシャリストの対局にいるのがオールラウンドプレーヤーと呼ばれるゼネラリストです。例えば、メジャーリーグのイチロー選手は、打撃、走塁、守備、総ての面で抜群の能力を発揮しています。一流選手と呼ばれる選手は一流のゼネラリストと云えるかもしれません。